宗教とは
「人生の迷いは哲学に学べ」
日本人だからこそできることは多い
「あなたの宗教はなんですか?」
人は生きていく上で、苦しみ、悲しみ、怒りといった感情から逃れられることはありません。人生で行き詰った時、世間が大きく変わる時など、「何かにすがりたい」というのは誰にでもあることです。そんな時に多くの人が心の支えにしているものが宗教です。
日本では「無宗教です」と答える人は少なくありません。日本人には当たり前のような回答ですが、海外から見ると驚いてしまう回答になります。
世界では8割以上の人が特定の宗教を信仰しており、内約8割の人がキリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教を信仰しています。
信仰とは、「神仏を信頼して尊び、その教えに心から従う」こととされており、キリスト教では「食前のお祈り」、イスラム教では「1日5回礼拝」、ヒンドゥー教では「牛・豚肉は禁止」など宗教によって様々な教えが存在しています。
日本ではこのような行動指針のようなものが無いので「無宗教です」と答える人が多いのかと思いますが、実は日本の9割以上が「仏教」「神道」という宗教に属しています。
神道と仏教
仏教の開祖は釈迦(ブッダ)であり、インドから中国へ伝わり、6世紀ごろ(538年または552年)中国から日本へ伝わったとされています。仏教は釈迦自ら広めたものではなく、釈迦の死後、複数の弟子たちによって広められました。しかし、弟子それぞれで教えの解釈違いがあり、宗派が分かれています。
そして日本人の根本となっている宗教が「神道」です。世界からも見ても極めて珍しく「一つの神を信じる」「誰かが説いた」というものではなく、日本人の暮らしの中から自然発生し生まれた宗教です。 開祖や教祖、教典を持たず、岩や滝、過去の偉人であったり、草木、剣や鏡といった物まで神が宿る(八百万の神)という考えが神道です。古くから自然との関わりの中で、生命の尊さを実感し、あらゆるものに神々が宿るとして、お祭りを行うようになりました。やがてお祭りを行う場所に神社を建てるようになり、他にも家にある神棚、年始の神社参り、七五三、先祖を大事にするといった風習があります。このようにあまりにも自然に私たちの暮らしに溶け込んでいるため自覚する人が少ないのも無理はありません。
日本人古来の叡智と価値観で培われた神道に、後から仏教が合わさり、現在の日本人思想の根源になっているのではないでしょうか。
宗教は怪しい?
さて、では本題に入りましょう。宗教とは心の支えになると冒頭でお伝えしました。
現代ではテクノロジーの進化がどんどんと進んでおり、時代の変化が加速しています。いつの時代もこういった時代の変化の境目には「何を信じたらいいのか...」「どうやって生きていけばいいのか...」迷いや不安といった感情に支配され倒れてしまう人が多くなります。そんな時に助けになるのが宗教です。
宗教と聞くと日本では「怪しい」「胡散臭い」というイメージを持った人が少なからずいます。過去にカルト教団による事件や政治に関与していたりする一部の宗教まがいのものと本来のあるべき宗教とを混ぜて考えているのが理由だと思います。
本来宗教というものは「人生を豊かに、あるいは悩みや苦しみなどから救う」ものになります。カルト集団のようなまがいものは、これらを謳ってはいますが、結果的に自分の私利私欲のために人の弱みにつけこみ、利用してきます。本当に腹立たしい。
世界から見ると日本は宗教に対しての教養が無さすぎると言われています。日本人思想の基礎である神道から日本文化は発展をしてきました。いわば、宗教はその国の文化です。グローバル社会となっている現代において、宗教への理解は必要なことであると認識しましょう。
それぞれの宗教は何を信じ、何を示すのか
ここからは世界的に有名な宗教についてそれぞれ簡単にご紹介していきますので、参考にしてみてください。
●宗教の基本的な考え方
「信仰」
宗教は、神や超自然的な力への信じる心から始まります。信仰は、目に見えない存在や力を信じることです。
「儀式」
宗教には、祈りやお祭り、特別な行動などの儀式があります。これらの儀式を通じて、信者は神とつながると信じています。
「教え」
宗教には、それぞれの宗教が大切にする教えがあります。これらの教えは、人生で何が正しいか、どう生きるべきかを教えてくれます。
「倫理と道徳」
宗教には、人々がどのように生きるべきか、何が正しいかを教える基準を持っています。これにより、社会での行動や人との関わり方が形作られます。
●主な世界の宗教
「キリスト教」
イエス・キリストを信じる宗教で、愛と赦し(ゆるし)を重視します。聖書は、キリスト教徒にとって信仰生活の基盤であり、神との関係や人々との関わり方を教える書物です。聖書の教えは、礼拝、祈り、道徳的な行動の指針として、多くのキリスト教徒にとって日常生活の中で重要な役割を果たしています。
聖書は大きく分けて「旧約聖書」(神との古い契約(約束)を記している。旧約聖書は、ユダヤ教の聖典でもあります)と「新約聖書」(イエス・キリストの生涯、教え、そして彼の死と復活を中心に描かれた書物です。神との新しい契約を記しています)の二つの部分から構成されています。
「イスラム教」
ムハンマドを神の預言者と信じ、アッラー(神)に従うことを重視します。イスラム教の聖典である「クルアーン(コーラン)」は、イスラム教徒にとって最も重要な書物です。聖典は、イスラム教徒にとって神の言葉そのものであり、信仰と生活の指針です。神の唯一性、預言者たちの教え、倫理と法律、そして来世への希望などが記されたクルアーンは、イスラム教徒が神に帰依し、正しい道を歩むための道しるべとなっています。
「ヒンドゥー教」
インドに広まっている宗教で、多くの神々を信じています。ヒンドゥー教の聖典は非常に多岐にわたり、古代から受け継がれてきた多様な教えや物語、哲学が含まれており、神々についての教え、人生の義務、道徳、宇宙の本質、カルマ(行動の結果が来世に影響する)と輪廻(生まれ変わり)など、幅広いテーマを扱っています。これらの聖典は、ヒンドゥー教徒の信仰生活を支え、道徳的な行動や宗教的な実践に関する指針を記します。
「ユダヤ教」
古代から続く一神教で、ヤハウェという神を信じます。ユダヤ教の聖典は「タナハ」と呼ばれる書物で、神との契約、律法と道徳、預言と救済、詩と知恵など、ユダヤ教の根本的な教えと信仰が豊かに記されています。これらの教えは、ユダヤ教徒が神との関係を深め、正しい生き方を追求するための指針となっており、ユダヤ教の信仰と実践の基盤を成しています。タナハはキリスト教の「旧約聖書」とほぼ同じ内容を持っていますが、その構成や解釈はユダヤ教独自のものになります。
「仏教」
釈迦(ブッダ)の教えに基づき、人生の苦しみを理解し、その原因を探り、苦しみから解放される道を示し、その教えを実践することで煩悩を克服し、最終的には悟りの境地に達することを目指します。
仏教には、キリスト教の「聖書」やイスラム教の「クルアーン」に相当する「唯一の聖典」はありませんが、多くの重要な経典や教典があります。これらは仏陀(ブッダ)の教えやその後の解釈、僧侶たちの議論などをまとめたもので、仏教徒にとって信仰と修行の指針となっています。
日本人特有の思想だからこそ
宗教は、現代社会でも人々の生活に大きな影響を与えています。宗教は、人生の指針を与え、困難なときに心の支えとなります。また、宗教が持つ道徳や倫理の教えは、社会の中での行動基準となります。しかし、異なる宗教があることで、時には対立や紛争が生じることもあります。そのため、現代では、異なる宗教や信仰を持つ人々が互いに理解し合い、共存することが重要視されています。宗教は、人々の心の中に深く根付いている信仰や教えです。世界には様々な宗教がありますが、どの宗教も人々が人生をより良く生きるための道を示してくれます。私個人としては、時にはクリスマスを祝ったり、時には体のメンテナンスのために断食したりとそれぞれの宗教の良いと思うことを取り入れてみるのも悪くない考えだと思います。海外の方からすれば型破りな思想かもしれませんが、これが日本人特有の思想でもあると思います。自分の人生の指針は選べます。
「あなたの宗教はなんですか?」