クリティカル・シンキングの重要性と習慣
「より正確で より効率の良い より良い選択をする」
情報社会においてクリティカル・シンキングは必要不可欠
クリティカル・シンキングとは
直訳すると「批判的思考」となります。批判的というと、SNSなどに見られる否定コメントや荒らし行為などをイメージされるかと思いますが、クリティカル・シンキングでは自身の論理や内容を内省するといったことを意味します。
自身の主張から一歩離れて「本当にそうか?」と繰り返し自問自答することで、より正確的、効率的な選択ができる思考法がクリティカル・シンキングの考え方になります。
現代では必要不可欠
2020年初頭から猛威を振るったコロナウイルス。その際、日本では全国的にトイレットペーパーが不足するという事態になりました。
発端としては「原材料が中国から輸入できなくなる」というデマ情報から買い占めへと発展してしまったことです。
デマだということは調べればすぐに分かりますが、世界的に見てもデマ情報を信じてしまうことは数多くあることです。
集団心理や人間の脳が「できるだけ考えずに楽をしたい」という特性があるため、最初から前提を疑ってかかれる人は少数派です。
人は誰しも、自分のことは自分がよく知っていると過信しがちですが、どんなに知性が高い人でも思い込みや偏見がない人はこの世にはいません。
クリティカル・シンキングは「人の思考には偏りがあるものだ」という前提をふまえたうえで、仮説を立て、根拠あるデータを参照し、できる限り偏りがない最適解を模索する思考法なので、情報が溢れかえっている現代において「どんな情報を選択するか」非常に重要な思考法なので身につけておいて損はないかと思います。
クリティカル・シンキングが上手い人の6つの習慣
クリティカル・シンキングがどのようなものか紹介してきましたが、何をやったらいいかイメージが湧かないという方もいるでしょう。
ここからは2018年にラスムーセン大学が行った研究「優れたクリティカルシンカーが自然に行っている6つの習慣」をご紹介していきます。
①「同定」
「今自分がどんな問題と向き合っているか」を確認する作業です。まさにクリティカル・シンキングの基礎とも言えます。まず、問題として挙げる前に「本当にそこが問題なのか?」を考えなければなりません。
例えば、ダイエットがしたい場合「運動をしないことが問題」としていきなり挙げるのは間違いやすいです。
基本的には『摂取カロリー< 消費カロリー=痩せる』
運動をしたからといって、その分食べていたら意味はありません。逆に食事を控えても消費カロリー(基礎代謝)が低ければ意味はありません。
大事なことは、しっかりと現状を把握してから問題設定することです。まずは「本当にそこが問題なのか?」を考えてみましょう。
②「調査」
「参考にする情報は正しいのか」をチェックする作業です。この作業は非常に大事です。
先ほども紹介しましたが、人間の脳は「できるだけ考えずに楽をしたい」という構造になっています。
「有名な人が言っているから」「先生が言っているから」「関係者が広めたから」とすぐに解決してくれそうな情報に飛びつき、自分の都合のいい情報を選択する人は少なくありません。これを解決するには「その情報が何を根拠にしているのか」「その根拠は本当に正しいのか」を深堀りしていくしかありません。より正確な意思決定するために情報の正確性には十分に気をつけていきましょう。
③「バイアスチェック」
自身が持つ「思い込み」を確認する作業です。この項目はクリティカル・シンキングでは最重要項目になっています。
信頼している人ならまだしも、他人の言うことを鵜呑みにしてはいけないことは誰でも分かっていることでしょう。しかし「自分の言うこと」に疑いを持つ人は驚くほどいません。
人は自分が一番かわいいと思う生き物なので、他人に厳しく、自分の思い込みに疑いも持たないというケースは多々あることです。大事なことは、自分との距離も適切に保つことです。物事を考える時は自分の考えも俯瞰してみることを心がけていきましょう。
④「推論」
今分かっていることから、別の方法を考えてみる作業です。可能性を探すといってもいいでしょう。
「調査」の段階で精度の高い情報を手に入れたとしても、そこには一つの真実しか現れていないことはよくあります。
一面の真実だけで判断すると間違った選択をしてしまうこは少なくありません。
例えば、先ほどのダイエットについて
食事量(摂取カロリー)と運動(消費カロリー)が体重に大きな影響を与えていると考えていた場合、他の可能性としては「体質」や「骨格」の可能性も考えられます。そうなると、元々目標にしていた体重よりも、その人の身体に合った適正な体重という目標に変わり、問題点も変わってくる可能性が出てきます。
こういった別の可能性を探してみることでより精度の高い意思決定をすることが出来るようになります。
1つの真実だけではなく、別の視点で考えてみることを意識してみましょう。
⑤「欲求の確認」
自分がなぜそうしようと思ったのかを再確認する作業です。見過ごされやすい項目ですが、意識しておきたい項目です。
よくあるのが手段が目的にすり替わってしまうことです。
例えば、目標「会社の利益を上げたい」手段「コストカット」とした場合、必要以上にコストカットをして結局売り上げが落ち、利益が減ってしまったということは少なからずあることです。
当初にふり返ることによって問題と解決策が目標に結びついているか、適時確認を意識していきましょう。
⑥「好奇心」
最後は好奇心を意識するということです。いろんなことに興味を持つことは幅広い選択肢を持つことと同義です。
1つの分野の中だけで考えるよりも他分野も加えて考えた方が良いアイデアを思いつく可能性は格段に上がります。
しかし残念なことに、私たち人間は経験を積めば積むほど好奇心が薄れていく傾向があります。これを解決するには意識していくしかありません。
具体的には「なぜ?」という疑問を持つ癖をつけていくのが良い方法なので是非意識してみてください。
騙される人は気づかない
今回はクリティカル・シンキングについてご紹介していきました。トレーニング方法についてはクリティカル・シンキングが上手い人の6つの習慣を参考に意識して頂ければよいですが、ソクラテス式問答法や弁証法的ライティング、CAT法、CKS法などを使っていけばさらにレベルアップもできますので試してみてください。
現代では情報が溢れかえり、中には根拠も無い悪質な情報も紛れています。そしてその悪質な情報は人間の特性を突くような情報ばかりなので簡単に騙されてしまいます。今回紹介したクリティカル・シンキングを使いこなせればそんな情報に騙されなくて済みます。
考え方を変えるのは難しいことですが、根気強よく、少しずつ未来に向けて意識していきましょう。
他にも役立つ思考法はありますので「こちら」も合わせて参考にしてみてください。